「俺もこのビルで働いてんの。知らなかった?」



身長の高い葛城くんは顔を覗き込んで、少し不服そうな顔をした。


視界には葛城くんの端正な顔が広がる。



「……知らなかった」



私は顔を背けた。


まさか、また葛城くんに会うなんて。


もう、会うのなんて昨日限りだと思ったのに。