一磨にそう言われるとは思ってもいなく。


一磨の横顔を見て、その問いに私は静かに頷いた。



「知ってるよ。何年茉莉乃のこと見てきたと思ってるんだよ。ちなみに、高校のときは健永のこと好きだったってことも知ってるから」



……もう、一磨には完敗だ。


何も一磨に言ってないのに。



「茉莉乃、幸せになれよ。幸せにならないと俺がただじゃおかねえから」



……ありがとう、一磨。


こんな私を好きになってくれてありがとう。


一磨はその後何も言わずに私の最寄駅ではなく、家まで送ってくれた。