「どうだった?風呂」



ある程度髪の毛を乾かして外に出ると、休憩スペースで葛城くんが漫画を読みながら待っていた。



「うん、良かったよ」


「あれ、まだちょっと濡れてんじゃん」



葛城くんは少し湿っている私の毛先に触れた。


その、触れた部分だけ熱を帯びていく気がした。



「だって、葛城くん待ってるかな、って思ったから……」


「んな、待たせとけばいいのに。部屋帰ったら少し乾かしてあげるよ」



葛城くんはそう言うと、行くよ、と漫画を畳んで、私の手を引っ張った。