だけど、高校生になる頃には、もう何も驚くこともなくなっていた。

私は毎日をこの左眼と過ごしているうちに気づいた。

「この世は嘘ばかり」だって。

それが現実で、知らない方がいいことだけど、それが視えてしまって、そして事実なのだから仕方がない。

何度も疑った。

私がおかしいんだって。

私の左眼がどうかしてるんだって。

だけど、毎日嘘が視えるようになっていくうちに、納得できてしまうこともあった。

私の左眼は、見えていないけど“視える”。

私は次第に、人に心を閉ざした。