(母 深雪)
「あらっ?一理ちゃん!その曲……弾くの久し振りだと思うけど…
どうかした?」


「…お母様…わたくしもうっ、大学二年なんですから、その…一理ちゃんって言うのは止めて頂けないかしら!あと…部屋に入って来る時は、一応ノックしてくださると有り難いのですが…」


「あらっ!そうだったわね!ごめんなさいね。それより……一理さんっ、何か悩んでる?」


「いえっ、……ただ今思いっきり、ピアノが弾きたかっただけですから…もうしばらく弾いていますから!夕食までには、終わりますから…」

一理は、それ以上母とは話すことは無かった。ただ無心にピアノを弾いて自分の夢や想いを考えないでおこうと思った。