「夏海ー!お昼食べよ!」


その後も春陽の一件を悩みながら
なんとなくボケーっと授業をやり過ごしてたら

あっという間に昼は訪れた。



「まこー聞いて」



まこ、は私の恋の悩みを唯一打ち明けられる心の友達、心友。



「今度はバカが何やらかした」

まこは絶対いつも私の悩みはあいつが何かやらかしたという前提で聞いてくる


まぁ大概そうなんだけど。




「なんか後輩ちゃんに告られたらしいんだけど」



「おお、マジか…で?」


「でも、断ったらしいんだよね」





「えっ??何で??急に」


まこもやっぱり驚いてる。
そりゃそうだよ、

だってあいつ虫けらに好きって言われてもうん、って言いそうなくらいのバカなのに



どんな考えで断るって方向になったの。


まぁ嬉しいんだけど、
飛び上がるくらい嬉しいんだけどさ。




「でもラッキーじゃん!てことはあいつはまだフリーって訳でしょ?」



「そ、うだけど」

気になる事はただ一つ。



「何で断ったか、よ」

思わずため息が漏れる。



「何でってピンと来なかったんじゃない?」

「何そのテキトーな解答」

「いやだってそういう奴じゃん」

まこは心友の想い人に容赦ないなー。
そういうハッキリしてるとこが好きなんだけど。





「もしかしたらさ…好き、な人いたりして」



本当は言いたくなかったけど
現実はそうもいかない。




「え何で」

まこは予想外といった顔をする。




それもそのはず
あいつは、彼女出来たりはした事あるけど

あいつから告ったとか
あいつが誰かを好きになったなんて話
生まれてこの方聞いたことないからだ。





「私も有り得ないと信じたいんだけど。」



だって
仮に好きな人がいたとするよ?


あいつ、何だかんだ人当たり良いし
結構優しいとこあるし
面白いから話盛り上がるし

あぁあと一応一言も喋らなければ一応イケメンだし一応…



きっと好かれた女の子も
好きになっちゃうよ……







そしたらどうするの私、




今までは彼女が出来てても
まぁきっと好きじゃないだろうし

いつか別れるんだろうなとか


そんなレベルで考えてたけど、





もし両想いってなったらそれは話が違う。


















想像するのも結構わりとキツいな。




「でもさ、それ




夏海って可能性あるくない?」





閃いた!って感じの口調で言われても、ね
いやその発想は無かったけど。






「有り得ないよ、だって私にいっつも誰に告られたとか付き合うとか付き合ってからの惚気とか…あぁ思い出したらイライラしてきた」



「それもこれもさ、

全部醍醐が夏海にやきもちやいて欲しいだけ
だったりして」



もうこの子、面白がってる。
ニヤニヤしながら
視聴率爆上げのネタ見つけたディレクターばりのギラついた目して。





「そんなうまい話があるわけ、」