「いや、別に俺好きじゃないし」
ずっとワントーンで単調な話しぶりで
その心なんて読めやしない。
こいつと小一から幼なじみやってもう9年経つけど、
私が好きになったのは多分中2の春で。
いやもっと前かもしれないけど
朝テストの点数が悪くて親と喧嘩した日の帰り道、家に帰りたくない私の遠回りに黙って付き合ってくれたとことか
何か嫌なことあって泣きそうな顔になると決まって変なギャグ言って笑かそうとしてくるとことか
しょうもない事で言い合いになっても
なんだかんだいつも折れてくれるとことか
たとえ彼女が出来ても
私とはずっと変わらずに接してくれるとことか
もっとたくさんある。
まだまだ言い切れないくらい、
私には春陽を好きになる要素が溢れ過ぎてた。
そう
私が好きになるのなんて当たり前だった。
と同時に
私に春陽の"好き"が向けられる事はもうずっとないってその時に気付いた。
だから
______あぁ、私好きなんだ春陽のこと。
って気付いてから
私はもうかれこれずっとその気持ちに蓋をしてきた。
気付かれちゃいけないとか、
そしたらこの関係が終わるかもしれないとか
そんなダサい考えで
今の今まで何の努力もせずに
幼なじみって特権だけ乱用して
こいつの隣に居座った。
たとえ彼女ができた時も、
登下校はなぜか私とだったし。
普通にいつも通りの毎日が過ぎて、
私はそのときも春陽の隣にいられて。
教室で屯したり春陽が下らないこと言うのを私が叩いたりそれで言い合いになったり
そんな楽しい毎日の間も
私はずっと"幼なじみ"として、そこにいた。
まぁ彼女とデートするこいつと偶然鉢合わせた日もあったけど…
私はその度に
何てことない顔をして
春陽とそのときの"彼女"を冷やかしたりした。
私は私の居場所にあぐらかいてて
春陽はどうせバカだから私の気持ちなんて気付きやしないし、
もう
このままでいいやとか思ってたけど。
何か
すごく胸騒ぎがする。
理由はよく分かってないけど、
私には今までと違う
嫌な予感がするんだ。
________________________
その嫌な予感の邪悪の根源
昨日の放課後、春陽に告ったという超絶趣味の悪い女の子というのは、一個下の後輩らしい。
しかもわりと可愛くてサッカー部のマネージャーでそこそこ先輩からも人気あるって子
名前聞いたら、あーあの子ってなる感じのそこそこ有名な子
え、何で春陽なん?
全然良いけど、いや良くはないけど
「何で、あの子可愛いじゃん
付き合ったら好きになるかもしれないよ」
思ってもない事はスラスラと口から出る
早く誰かこのメカニズム解明して欲しい
あーあ、私ってこうやって婚期逃すんだろうな。
自分の言った言葉に地の果てまで後悔に苛まれてる間
春陽は何とも言えない表情をした。
「あ、そう」
何だその反応、日本語どこに捨ててきた?
もっと何か返答があると思ってたから、
意味のない音の羅列しか聞こえなくてさらに私は撃沈した。
しかも春陽がその後呆れるほど無表情になってしまったから、
私も次に何か言うのをやめた。
「…お前さ」
すると急に春陽がこっちに椅子傾けてきて
ひどく真剣な眼差しで私の目を見つめてきて
お前さ…?え、私?
えなにどういう展開?
何言おうとしてる?
私の頭は急に回路停止
いっつもバカバカ罵ってるくせに
いざと言う時何も頭が回らないのは
私の方だ。
「100円持ってる?」
…………は?
「え?何?聞き間違い?」
意味わかんない
やっぱこいつ日本語、駅のゴミ箱に捨ててきたんだわ
「いや飲み物買いたいなぁと思って、でも今日俺90円しかないから」
「90円で買えるもの飲め」
てか飲むな一生、まで口からスラスラ出た。
は?死ぬじゃん俺ー
葬式は派手にやってあげる、なんて言ってたときにはもう隣の席は空いていた。
「てか、なんで断ったの」
だってあいつの信条は
"来るもの拒まず"
今までの彼女だってまぁもちろん友達も
誰でもみんな
来るものはウェルカムってタイプなのに。
私はその姿勢に幾度となく心をえぐられ、
その度にこいつの事嫌いになってやる
って誓ったことか。
それなのに。
何で急に断ったの?
まさか…
あいつ好きな人でもいるの…?
いや、まさかね。
不安はときに私を不幸に陥れる。
ずっとワントーンで単調な話しぶりで
その心なんて読めやしない。
こいつと小一から幼なじみやってもう9年経つけど、
私が好きになったのは多分中2の春で。
いやもっと前かもしれないけど
朝テストの点数が悪くて親と喧嘩した日の帰り道、家に帰りたくない私の遠回りに黙って付き合ってくれたとことか
何か嫌なことあって泣きそうな顔になると決まって変なギャグ言って笑かそうとしてくるとことか
しょうもない事で言い合いになっても
なんだかんだいつも折れてくれるとことか
たとえ彼女が出来ても
私とはずっと変わらずに接してくれるとことか
もっとたくさんある。
まだまだ言い切れないくらい、
私には春陽を好きになる要素が溢れ過ぎてた。
そう
私が好きになるのなんて当たり前だった。
と同時に
私に春陽の"好き"が向けられる事はもうずっとないってその時に気付いた。
だから
______あぁ、私好きなんだ春陽のこと。
って気付いてから
私はもうかれこれずっとその気持ちに蓋をしてきた。
気付かれちゃいけないとか、
そしたらこの関係が終わるかもしれないとか
そんなダサい考えで
今の今まで何の努力もせずに
幼なじみって特権だけ乱用して
こいつの隣に居座った。
たとえ彼女ができた時も、
登下校はなぜか私とだったし。
普通にいつも通りの毎日が過ぎて、
私はそのときも春陽の隣にいられて。
教室で屯したり春陽が下らないこと言うのを私が叩いたりそれで言い合いになったり
そんな楽しい毎日の間も
私はずっと"幼なじみ"として、そこにいた。
まぁ彼女とデートするこいつと偶然鉢合わせた日もあったけど…
私はその度に
何てことない顔をして
春陽とそのときの"彼女"を冷やかしたりした。
私は私の居場所にあぐらかいてて
春陽はどうせバカだから私の気持ちなんて気付きやしないし、
もう
このままでいいやとか思ってたけど。
何か
すごく胸騒ぎがする。
理由はよく分かってないけど、
私には今までと違う
嫌な予感がするんだ。
________________________
その嫌な予感の邪悪の根源
昨日の放課後、春陽に告ったという超絶趣味の悪い女の子というのは、一個下の後輩らしい。
しかもわりと可愛くてサッカー部のマネージャーでそこそこ先輩からも人気あるって子
名前聞いたら、あーあの子ってなる感じのそこそこ有名な子
え、何で春陽なん?
全然良いけど、いや良くはないけど
「何で、あの子可愛いじゃん
付き合ったら好きになるかもしれないよ」
思ってもない事はスラスラと口から出る
早く誰かこのメカニズム解明して欲しい
あーあ、私ってこうやって婚期逃すんだろうな。
自分の言った言葉に地の果てまで後悔に苛まれてる間
春陽は何とも言えない表情をした。
「あ、そう」
何だその反応、日本語どこに捨ててきた?
もっと何か返答があると思ってたから、
意味のない音の羅列しか聞こえなくてさらに私は撃沈した。
しかも春陽がその後呆れるほど無表情になってしまったから、
私も次に何か言うのをやめた。
「…お前さ」
すると急に春陽がこっちに椅子傾けてきて
ひどく真剣な眼差しで私の目を見つめてきて
お前さ…?え、私?
えなにどういう展開?
何言おうとしてる?
私の頭は急に回路停止
いっつもバカバカ罵ってるくせに
いざと言う時何も頭が回らないのは
私の方だ。
「100円持ってる?」
…………は?
「え?何?聞き間違い?」
意味わかんない
やっぱこいつ日本語、駅のゴミ箱に捨ててきたんだわ
「いや飲み物買いたいなぁと思って、でも今日俺90円しかないから」
「90円で買えるもの飲め」
てか飲むな一生、まで口からスラスラ出た。
は?死ぬじゃん俺ー
葬式は派手にやってあげる、なんて言ってたときにはもう隣の席は空いていた。
「てか、なんで断ったの」
だってあいつの信条は
"来るもの拒まず"
今までの彼女だってまぁもちろん友達も
誰でもみんな
来るものはウェルカムってタイプなのに。
私はその姿勢に幾度となく心をえぐられ、
その度にこいつの事嫌いになってやる
って誓ったことか。
それなのに。
何で急に断ったの?
まさか…
あいつ好きな人でもいるの…?
いや、まさかね。
不安はときに私を不幸に陥れる。