「えっ、私の名前も知ってたんですか⁈」 「だから、最初に聞いたじゃん」 「そうちゃ、そろそろいくおー」 舞音が待ちくたびれたように聡介に声を掛ける。 「じゃ、また連絡すっから」 「ーーはい」 名残惜しそうにお互いの手を握り、離した。 きっとこれは、恋になるだろう。 そう予感がした。 シロツメクサの花冠を握りながら、咲智は遠のいていく聡介の後ろ姿に手を振った。 end