「暇だなあ……」 咲智(さち)はベッドに寝転がりながら読んでいた漫画で顔を伏せた。 大学の春休みに入り、咲智は暇を持て余していた。 かと言って、アルバイトも辞めたばかりで新しいところを探している最中で、サークルも一応所属はしているが、友達に誘われる形で入ったため、ほぼ幽霊部員状態。 「咲智ー?家にいるならちょっとおつかいしてきてくれるー?」 階段下から母親の声が聞こえてきて、咲智はしょうがなく重たい体を起き上げた。