ワクワクの放課後。

友達と呼べる知り合いがいない私は

さっさとうちに帰る。

___わけではない。

自宅からここまでは徒歩で登下校できる。

しかし私は真っ直ぐ自宅へ帰らない。

というか帰れない。

自宅から学校まで徒歩三十分。

体力がない私が三十分も歩けない。

だから学校の最寄り駅から三駅の

祖父母の家に帰る。

なので学校から徒歩五分の駅で電車に乗り

三駅先で降りて祖母に迎えに来てもらう。

そしてある程度の時間まで祖父母の家でゆっくり

してから自宅まで送ってもらう。

毎日それの繰り返しだ。

しかし今日はそういうわけにいかなかった。

ディスカッションに参加しない私は

毎週水曜日、ディスカッションのある日の放課後に

残って授業分の成績をキープする。

この時の先生とはよく話す。

昨日食べたご飯、昨日見たテレビの話。

ディスカッションとはこういうことをする授業

ではないことは分かっているのだが

先生が気をつかってくれているようだ。

「じゃあ帰ります。さようなら」

「はいさようなら。気をつけてくださいね。」

ディスカッションの担当はクラスの担任の先生、

天宮先生だ。

優しくて面白い女性先生でとても話しやすい。

そしてとても心配性だ。

ハブられていないか、など毎週のように聞かれる。

私は毎週同じ返事をする。

「特にないです。あっても気にしません。」

って。決まって先生は少し困ったように笑う。

そういう先生は私は尊敬する。面白い。