「え、何。夏目くんって暇なの」
家を出てすかさず彼をキッと睨む。
「いや、俺も店長から割引券もらったんだよ。それで昨日ちょうど木村さんたちに昇降口でばったり会って。じゃあ一緒に行こうかって流れに。8人以上だとさらに割引きされるしさ」
「え、8人?」
私たちは5人で動物園に行く予定だ。
夏目くんが行くなんて知らなかったから、今この瞬間に6人になったと思ったけど、まだいるの?
「木村さんが長山と泉を誘ったみたい」
「えっ、」
「長山はうちのクラスで木村さんの幼なじみ」
「あ、はあ……」
雪ちゃんに幼なじみがいたなんて初耳で、夏目くんの方が先にその情報を知っていたことにもむかつく。
「俺が郁田さんのことストーカーしてるとか思ったんでしょ?悪いけど、提案してきたのは全部木村さんたちの方だからね」
「いやでも迎えにくるのは意味はわかんないから!」
やっぱりストーカーじゃん!