「涼々に『新しく相手してもらえる人を見つけたからもう大丈夫だよ』って言われた時、正直すごくホッとした。サイテーだよね」

そう言って紅茶をすすって顔を上げれば、彼女の目に涙が溜まっていた。

なんであなたが泣くの。

そう思ったのと同時に、ああだから涼々は彼女でないとダメなんだと改めて思った。

正しいかどうかよりも、その気持ちに寄り添うことに向き合える子だから。

「ごめんね。こんな話、聞きたくないよね」

そういうとブンブンと首を横に振ってただただ流れてくる涙を拭っていた。

「私はね、そんなやり方でしか涼々を守る方法を思いつかなかったの。……でも、菜花ちゃんは違った」

そのキラキラした濁りのない瞳が羨ましくてしょうがない。

あなたしかいないと思うの。
あの子を守れるのは。

「菜花ちゃんは正面からちゃんと涼々と向き合った。私は怖くてそんなことできなかったもの。菜花ちゃんに出会って、涼々はものすごく変わったよ。とっても素敵に」