『お願いっ!ほら、涼々、前にバイトしたいって言ってたじゃん!おばさんたちにお小遣いもらうのが申し訳ないって!ちょうど募集してる張り紙見たしっ』

『いや、だったら月子がそこで働いた方が良くない?』

『え、無理。好きな人と一緒に働くなんて集中できるわけないでしょ!一生のお願いっ!それであわよくば彼の情報をなにか掴んできて!好きな食べ物とか、嫌いな食べ物とか、好きな女の子のタイプとか!』

『んー……わかったよ、』

今の涼々の立場上、私のお願いを断れないことをわかっていた。

私はどこまでもズルかったと思う。

でも、こういうやり方しか思いつかなかった。

いつだってひねくれてて、他人の目を気にしている。

そして───。

『……月子さ、最近なんか調子悪い?』

『えっ……』

誰よりも自分勝手。

『前から思ってたけど、やっぱり良くないよね。月子、好きな人いるんだし、もうこういうこと……』

『だ、大丈夫だよ!別に彼と付き合ってるわけじゃないし、そもそも向こうが私のこと見てくれるかもわかんない状況なわけで……』

わかっていたはずだ。

どちらかに好きな人ができてしまったら、自然とこの関係には終わりがくること。終わらせなきゃいけないこと。

本当はどこかで、終わらせたいと思っていたこと。