『ごめん……月子。俺のわがままでいつも……』

『なんで謝るの?私が提案したことじゃん。涼々となら別に平気だよ。ていうか、私だって、こうやって涼々と会ってる時が一番素を出せてるんだから』

いちいち説明しなくても、私の生い立ちを知ってくれる人がいて、

ほかの人には理解されない複雑な気持ちをわかってくれる人がいて。

それだけで、ひとりじゃないんだと実感できたのは私だって同じで。

涼々はきっと人一倍甘えたがりで寂しがりやだったんだろうと思う。

それをうまく伝えられない、気づいてもらえないだけで。

涼々のためにしていると思えば思うほど、誰かのために行動している自分のことも好きになれて。

いい関係性だって、思っていた。

───私の気持ちが変わるまでは。

『んー、聞いたことないな。同じクラスではないよ』

『そっかー……』

『なに?月子その人のこと、好きなの?』

涼々に指摘されて、自分の全身が熱を帯びた。