っていうか、夏目くんもなんか言ってよ!
このままだったら私と夏目くんが勘違いされちゃうじゃない!
隣に立つ彼を睨みつけても、安定の爽やかスマイルをみんなに振りまいていてこっちに気付かない。
「……あのさ、」
光莉や雪ちゃんたちに冷やかされていると、一部始終を見ていた泉くんが口を開いた。
顔がすこぶる可愛らしくて綺麗な泉くん、私服もすっごいおしゃれで、ほんとモデルさんみたいだと思う。
「えっと、夏目と郁田は付き合ってるの?」
っ?!
「へっ!ないないないっ!ないからっ!絶対!」
「ちょっと菜花〜そんなに否定しなくていいでしょ〜〜!仲良いじゃんふたりとも。ね、夏目くん」
「俺と郁田さん、仲良く見えてるかな?だとしたら俺はすごい嬉しいけど」
そう言ってフワッと笑う彼が大嫌いだ。
嘘つき。
ふたりきりの時と全然違うじゃん。
しかも、夏目くんがそう言ってるのに私が拒否してたら明らかに私のイメージ悪くなっちゃうし!
「付き合うのも時間の問題って感じかな、ほら、菜花、変に素直じゃないところあるし」
雪ちゃんたちまでも楽しそうにそういうから、もう私だけの言葉じゃどうにもならない。
「あぁ、ほら、もう、早く中に入ろうよ!」
話題をすぐにでも変えたくてそう言ってから、私たちは入り口ゲートへと進んだ。