「あっ、来たっ!菜花〜夏目くん〜!こっちこっち〜!」

電車から降りて数分歩いて動物園の入り口ゲートが見えてきたかと思えば、

ゲートの端から、聴き慣れた声が私たちの名前を呼ぶのが聞こえたので、その先に目を向ける。

「光莉っ!」

いつものメンバーと、泉くん、そして見慣れない男の子がひとり。

きっと、彼が、雪ちゃんの幼なじみ、長山くんなのだろう。

私と夏目くんは早足でみんなの元へと向かう。

「おはようっ!遅くなってごめんね〜」

「大丈夫!遅くなったって1分じゃん。それに……」

光莉が私と夏目くんの間を見てニヤケだした。

え、何見てニヤニヤして……。

あっ!

光莉の目線の先を見て思い出した。

手!!

手!!

電車に乗ってからずっと手を繋いでいたことをすっかり忘れていた。

私もなんで忘れるぐらい慣れちゃうかな……!!

「いや、これはっ!!違くて!!」

「なにが違うのよ〜!!菜花のこと夏目くんに迎えに行かせて正解だったわね〜」

なんだか誇ったような顔をした光莉は、私がどんなに誤解を解こうとしても「まぁまぁ」と受け流すだけ。