乗り気じゃない私に、日向は目を留めず部屋に戻ってきた。

「ほぃ、コレ。飲みや。」

「ぅ…ん…。でも、私…」

「何?疲れたんやないん?」

「ん…ごめん、何でもない!」

私は睡眠薬を握りしめ、口に放り込んだ。そして一気に水を飲む。

「うわ~飲んじゃったなぁ」

――…死ぬ、死ぬ、死ぬ、死ぬ――

「…」

「…?」

「ね…むぃ…」

「効いてきた効いてきた」

ニカニカと笑う日向がぼんやりしていく。


―――私、死ぬんだ。


呆然としていると、そのまんま意識がなくなった。




熱い…何か超熱い…。何?ここ。そうか、私死んじゃったんだ。

ここは天国かなぁ。地獄かなぁ。

どっちでも良かった。けど、後悔した。何で飲んだんだろ。

バカだ私…。 そんなことを考えていたら、いきなり

「なぁ~んや、つまらへんなぁ。」と日向の声がした。

「ひ…なた?私…生きてんの?」

「うん、死んでへんし」

「よかったぁ…」私はホッと胸を撫で下ろした。

「……死にたかったんちゃうん?」

「へっ?あ…」つい口に出ちゃった…ヤバ。

日向は思いっきりガンを飛ばしてきている。

「ぇ…ぇと…その…」言い訳が見つからなかった…ん~と…。

「うっそぉー!知ってたで、お前が薬飲む前から嫌がってたん。」

「ちょっ…それって…何でじゃあ止めてくれなかったの?!」

「は?飲んだんお前やん」

「でもっ…私は仕方なく…」

「仕方なくもクソもないわ!!死んでへんねんからええやん!」

「まぁそうだけどさぁ…そういえばさっきの熱いの何だったの?」

「え?あぁ~薬飲みすぎて死にかけやったんちゃうん?」

「あ~っそ。」

私は口を尖らせて睨んだ。

「お、俺悪くないし~♪」

そう言って逃げていった。

「もぉー!!」

でも…まぁ…よかった!!