「日向っ…元気してた?」

「うん、まぁ…ってか…何でここに、おること知ってんのや?!」

「あ、ごめん…色々あってね…」

私は日向の座っているベッドの前に腰かけた。

「何か勝手にくつろいでるし…(笑)」

「えへへっ☆」

「でも…さっさと出て行けよ?」

「何で?!」

「だってよぉ、絶対母さん来るし?お前いたら余計わかりやすくなりそうやし?前の施設に来てんかぁ…だから!!」

「…日向。それは逃げてるっていうんだよ」

「…は?お前、いきなり何なん?」

「何なん?じゃないよ…日向はちゃんとお母さんと向き合おうとしてないじゃん。お母さんは、多分だけどね、日向に許してもらいたいわけじゃないと思うの。謝ったら済む話だとか思ってないと思うの。ちゃんと…ちゃんと、日向と向き合おうとしてるのよ…。普通、置いてった張本人がノコノコと子供に会うなんて、気まずいでしょ?お母さんだってお母さんなりに、勇気出して会いにきたんだよ。」

「知らんし…そんなんアイツが勝手にしたことやん!!俺には関係ないやん」

「関係あるよ!!親子でしょ?!」

「お前…アホか?!先生か?!誰やねん!!人事やと思って、お前、俺の立場に立ってみぃや!!」

「アホじゃない!!先生じゃない!!橘唯です~だ!!ちゃんと日向の立場に立って言ってるよ!!私なんて…会いたくても会えないんだよ?!そんなのに比べてみたら…」

自分で言ってて、めちゃくちゃ悔しくなった。

また、泣きそうになっちゃって。

日向は少し考え込んで難しい顔をしていたけど、次の瞬間パッと表情を変えた。

「橘……橘………橘?!え…橘唯?!」

「…そうだけど…?何?私のこと知ってるの?」

「当たり前やわ!!お前、亜美の親友やろ?!よう話は聞いててんで!!」

「え?亜美のこと、知ってるの?友達?」

「へ?ちゃうちゃう…双子やで?」

「ふ…?双、双、双子ォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ?!!!」

「んな驚かんでも、ええやん。ってか知らんかったん?苗字一緒やねんし、普通気づくやろ??」

「そうなんだ…私、苗字とか聞かなかったし…えぇ~…そうなんだぁ?!」

「苗字聞かへんとか、尋常やないなぁ…」