「将来有望な瀬戸内くんは
将来有望な後ろ盾のある女性と
結婚するんだろうね

彼を繋ぎ止めておけるのは
今を逃したら
もう無いと思え

プライドなんか捨てちまえ」

廉人さんが言った

麗華さんは眉間に皺を寄せたまま
ゆっくり歩きだすと

徐々にスピードをあげていった

帰って行った瀬戸内くんを
追いかけて行ったのだろう

廉人さんは
満足そうにうなずくと
腕を組んだ

「倒産って
廉人さんが?」

「俺はあまり手を出してない

自爆したって表現が適切だろうな」

「嘘、うそ
敵に容赦しないから、廉人は」

「言うなよ!」

廉人さんは
久我っちの腕をつついた

「今度は
久我先生と果恋ちゃんが
幸せになる番だよ」

私は久我っちの顔を見た

「ちょっと待て!
俺らじゃないの?」

廉人さんが聞いてきた

「あれ?
廉人さんは幸せじゃないの?」

「いや…幸せだけど…」

「ならいいじゃない

やっぱり久我先生と果恋ちゃんだよ」