「次は携帯を奪いなさい」

麗華さんが
取り巻きの友人たちに命令した

スカートのポケットに入っている
私の携帯を奪われた

「昨日は理科室だったから
今日はどこにしようかしら？」

麗華は楽しそうに
呟いた

「麗華、やめなよ」

教室のドアから
男の人の声がした

女子高なのに
若い男性の声が教室に響いた

瀬戸内くんだった

男子校の制服を着ている瀬戸内くんは
怖い顔をして教室の中に入ってきた

「海堂さんから連絡をもらって
久我先生に学校に入れてもらった

麗華、思い通りならないからって
人を傷つけていい理由にならない」

瀬戸内くんは怒っていた

「貴方には関係ないわ」

「関係ない言うなら

俺は麗華と別れる
今日で麗華との関係はおしまいだ」

「は？
何、格好つけているの？

意味がわからない

私が付き合ってあげていたのよ
勝手に決めないでいただきたいわ」

「人を馬鹿にするのも
いい加減にしろ！

麗華とは今後一切
かかわりを持たないよ」

瀬戸内くんは
私の手を掴んだ

「行こう、木下」

私は取り巻きの友人が持っている
携帯を奪い返すと

瀬戸内くんと一緒に廊下に出た

廊下には
廉人さんと久我っちが立っていた

「仕組んだの？」

私が廉人さんに質問した

「別に何もしてない
俺は麗華のしたことを瀬戸内に話をした」

「僕が学校に来た瀬戸内くんと廉人を
中に案内した」

久我っちが笑顔で言った