『ありがとう
それでも
果恋と別れる気はないんだ』

久我っちの優しい声が聞こえた

「うん
その答えが聞きたかったの

じゃ、おやすみなさい」

私は電話を切った

久我っちはちゃんと果恋ちゃんを
愛している

私の顔はにけていった

「果恋らしい行動だな」

廉人さんが呟いた

「あいつは強がってるくせに
本心をさらけ出せないんだ

弱気で泣き虫で
決定的な言葉を言われるのが
怖い

だから強がって
傷ついていないふりをする

傷つけられる前に
自分から相手を傷つけるんだ

誠也はそれを知っている
知っていて果恋を受け入れたんだ」

「大人だね」

「あいつの初恋は
果恋だと思うぞ

どの女も果恋に似ている
顔だったり
性格だったり

どれも長続きしなかったけど」

え?
だって結婚を決めていた相手が
いたって…

「その顔だと
果恋から間違った情報を聞いてきたな?」

「5歳以上年上の女性が好きで
結婚を考えていた人がいるって…」

「まさか
そんな女がいるわけないじゃん

女に振られて
抱かれたと思ってたんだろう?

違うよ
仕事が終わりそうになくて
部活の顧問をしているのに
仕事を優先にしたら
生徒が大けがをしたんだ

それで親からも校長からも
責められて
俺に愚痴をこぼしに来たんだよ」

え?
なんでこんなに
話が違うの?