私は横に首を振った

「黙って
下ろそうかなって思ってる時に
久我っちにばれちゃった

つわりが酷くてさ

久我っち
担任だからそういうのを
見てたみたい

それで責任を感じて
入籍したんだ

でも麗華のパーティの日に
流産しちゃった

だから
離婚しようって言ってるの

もう責任をとる必要はないわけでしょ?
お腹に何もなくなっちゃったし

久我っちの好みは年上なんだから
無理して一緒にいる必要はないと思う」

果恋が寂しい目をしつつ
笑顔を見せた

「久我先生は
別れないって言ってたよ」

「妙に責任感があるのよね
別にさ
まわりに結婚したって
知られてるわけじゃないんだし

それに
実は…」

そういって
果恋ちゃんは鞄から

婚姻届を出した

「まだ出してないの」

「ええ?」

「だから正式には夫婦じゃないのよ

ちゃんと別れるって
久我っちが言ってくれれば
いつでも
結婚してないって言おうと思ってるんだけど

なかなか言ってくれないから」

「果恋ちゃん

ちゃんと話すべきだよ
久我先生と今後について
話そうよ」

「話してるよ」

「違うって
婚姻届は出してないって
きちんと話してから

今後の話をしたほうがいいって」

「大丈夫
もうすぐ別れるから」

果恋ちゃんは婚姻届を
鞄の中にしまった