私たちは夜のレストランに入った

「私ね
ずっと久我っちが好きだった
でも片思いで終わるって
知ってたから
告白もしないで心の中に
気持ちを隠してた

久我っちはお兄ちゃんの友達で
それなりに顔もいいでしょ?

だからずっと妹扱いされてきたし
久我っちの隣には奇麗な女性が立ってた」

ドリンクバーでオレンジジュースを
持ってきた果恋ちゃんは

ストローを触りながら
口を開いた

「久我っちの好みはね
年上の女性なんだ

それも5歳以上差がないと
駄目って条件つき

だから既婚者が多かったかな

それでも独身女性と付き合うことも
あったよ

私と結婚する前までは
独身の女性と真剣に付き合ってた

結婚するつもりだったと思う

知り合ったきっかけは
ホスト時代だったときの
お客さんだったみたい

久我っちが
プロポーズしようと思った
前夜
彼女の浮気を知った

しかもお兄ちゃんのお店の人と
ホテルに行ってた

ショックを受けた久我っちは
大量の酒を持ち込んで
兄貴のところに来た

酔って記憶を失った久我っちは
私を抱いた

たった一回のセックスよ

それだけで
私は妊娠した

でもずっと言えなかった
誰にも言えなくて

苦しくて
どうにかなりそうで

そんなときにさ
麗華が花音を馬鹿にしてるのを
見て
頭にきたの
それでつい…
あの時はイケメン彼氏がいる
なんて言ってごめん」

目に涙を浮かべて、
果恋ちゃんが頭をさげた