「どう?
これで廉人と別れる気になった?」

放課後の教室で
麗華さんが言ってきた

「私を追い詰めても
廉人さんは麗華さんに
振り向かないと思う」

「何ですって?」

麗華さんが
私の髪を掴んだ

引っ張られた痛みで
私の顔はゆがむ

「連れて行きな」

麗華さんの後ろにいた
クラスメートが
私の腕を掴んで
引きずった

無理やり廊下を歩かされ、
私は
理科準備室に閉じ込められた

外側から鍵をかけられた
私は

一人学校に残った

外は暗くなる

気温も下がり
寒さが身にしみた

制服のポケットには携帯があった

廉人さんに
連絡したいけど

私はアドレスを知らない

果恋ちゃんにメールした

『理科室に閉じ込められちゃった
たぶん、明日の朝まで出られないと思うから

廉人さんに
マンションに行けないって言ってもらえる?』

すぐに果恋ちゃんから返事がきた

『なんで
そんなとこに閉じこもっているのよ』

『麗華さんたちにちょっと…』

果恋ちゃんからの返事はなかった

寒さで体が震えた
手で腕や足をさするけど

寒い

真っ暗な理科室はちょっと
怖かった