「廉人さんの名刺は?
もらっているんでしょ?

会社の名刺!」

お父さんがスーツのポケットに
視線を動かした

「出して!」

「父さんは
お前になんと言われようと
あそこで働くぞ」

「いいから」

お父さんは降参したように
廉人さんの名刺を出した

私はその名刺を手に
家を飛び出した

制服のまま
鞄を肩にかけて

駅に向かって走り出した

そこに行けば
廉人さんに会える

マンションに行ったほうがいいのか

でも面接をしたというのなら
会社に行ったほうがいいかもしれない

私は電車に乗ると、
名刺に書かれてある住所に向かった