「…………バカ」


今の、フツウのキスじゃん。

食べてないよね。


「ねえ、校舎まわってみない? 占いの館とかあるんだって」


演劇が終わり、体育館をあとにする。


「胡散臭いな」
「雰囲気を楽しむヤツだよ。おもしろそうじゃん」


テーブルの上にそれっぽい水晶玉とか置いてあったりするかも。


「俺の未来予知の方が1億倍は信憑性が高い」


そんなことまでできちゃうの?


「あ……相性とか。見てもらえるかも」
「必要ない」
「なんでよ」
「貴様に俺より相性のいい相手がいるわけないだろう」


まったく、この王子様は。


「そうは思わないか」
「それは、そう……だけど」
「まあ。行ってみてもいいが。結果によっては占い師の首をはねかねんな」
「やっぱりいかない!」



――――恐ろしくも愛おしい。




『その王子、はらぺこ悪魔につき。』
番外編【完】