「みんな上手だね、演劇」
「退屈だ。眠くて仕方がない」
「じゃあ見なきゃいいじゃん」
「終わったら起こせ」
「へっ」


セロが、わたしの肩に頭を乗っけてくる。

ええぇ!?


「こ……こんなとこで」


どうせなら保健室使わせてもらうとか。
屋上行くとか。


いくら暗くても、恥ずかしいよ。


「腹が減ったな」
「っ、今は……ダメだよ?」
「ひとくちでかまわん。喰わせろ」
「ムリ!」


ちゃんと演劇に集中しなきゃ。

お客さんに迷惑だし、舞台してる人たちにも失礼だ。


「って。ちょっと……」


背景に立ててある、大きな板が――


「危ないっ」


舞台に向かって傾き


「キャアアア!!!」


体育館に、叫び声が、響き渡る。