顔をあげて、驚く。
「あなたは……!」
青高の学ラン。
白がかった金髪。
そして、その、呼び方。
「リク、さん」
雛といたときにナンパされたあと
ホテルで気まずい別れ方したきりぶりだ。
不良校のヤンキーな先輩。
ということは、もしかして――……
「百合ちゃーん!」
やっぱり、いた。
アキラさんが日傘をさしている雛に抱きつこうとして蹴りを入れられている。
セロが記憶を操作したと言っていたけど、全部は消していなかったんだね。
だからアキラさんの雛への興味は残っている。
「遊びに来てくれたんですね」
アキラさんに誘われたから乗り気じゃないけど来てやったって感じに見えなくもない。
「俺らみたいなのがいたら、空気わるくなるな」
「そ、そんなことは!」
「ひょっとしたら会えるかもとは。思ったが」
「え?」
「それは?」
手元のビラに視線を落としたリクさんに、問いかけられる。