お風呂からあがると、涼夜さんが隅っこの方で本を読んでいた。

「あ、あの...、そんなに萎縮しなくても、大丈夫ですからね?」

「はい、ありがとうございます。
でも、どちらかといえばすみっこの方が落ち着くというか...。」

すみっこぐらし...。

ちょっと微笑ましいww

「何を読んでるんですか?」

「少しでも自立できるように、資格の勉強ぐらいは...と思いまして。」

「なるほど...。」

真面目だな...。

と言っても、既に家賃の半分以上は出してもらってるんだけど...。

この様子なら、すぐに私がいる必要もなくなるだろうな。

でも、まあ、親元離れて生活っていうのにも少しは憧れてたし、
今のところは支障もないし、
これはこれでいいかも...?

「涼夜さんもお風呂入ってくださいね。」

「はい、そうします。」

涼夜さんは立ち上がって、洗面所の方へ向かった。

涼夜さんがいたスペースには、黒い鞄や小さな机が置かれている。

机の上には本とスマホが。

「一応、スマホは持ってるんだな...。
経済的にはあまり困ってなさそうだけどな...。」

なんで、あんなことになってたんだろう。

お兄さん含め、家族の人とも連絡とってないみたいだし。

「涼夜さんって、一体、何者なんだろう。」

スマホ...ちょっとだけ覗いちゃおうかな...。

「いない...よね?」

不審者みたいにキョロキョロあたりを見回し、

スマホに手を伸ばした。