「新田さん?」

顔を覗き込もうとすると、ふぅーっと大きく息を吐き出し

「なぁ、いいかげんその "新田さん" って他人行儀な呼び方やめてほしいをだけど」

と私の唇をつまみ

「柚月、柚月だ朝陽」

と今すぐ言えと言わんばかりの期待のこもった瞳が私をじっと見つめている。

「えっと…ゆ、柚月さん…」

「"さん" はいらない」

拗ねたような顔をした彼が可愛らしくて、フッと笑いながら

「柚月…」

と呼ぶと

「やばっ、すげぇ嬉しい。
ダメだ。なんか俺が朝陽に甘やかされてる気がするっ!」

と納得いかない顔をして

「まっいっか。たまには素直な朝陽に甘やかされるのも悪くないな」

と嬉しそうに笑う柚月に私はすっかり心を奪われていた。