出会ってから3年、仕事に必死だった私の隣には気がつけばいつも彼がいてくれた。

強引に車に乗せられて出掛けたことは何度もある。

これをデートと本当は呼ぶのかもしれないが、

「新メニューの参考にしたい店があるから一緒に行ってくれ」
とか
「食材調達に付き合え」
とか何かしらの理由をつけて私のことを連れ出す彼は、たぶん素直になれない私を行くと答える口実をつけてくれていた。

「もぉ、しかたないなぁ。
一緒にいってあげるよ」

そして決まって強引な彼の誘いに、必ずそっぽを向きながら答える私を、彼はいつも優しい目をして見つめていた。