「…好きだった人の結婚式に行ってきたの」

ぽつりと呟くように言った私の言葉を彼は黙って聞いていた。

「ずっと好きだった…。
いつも隣にいたはずなのに、彼の隣で一緒に歩いていくのは私じゃなかった…。

だから、今彼のことが思い出になるまで先にはすすめない」

そっと彼の胸を押して、温かな腕の中から抜け出した。

「ん…。だから俺、朝陽の心の隙に付け入るよ?
俺は朝陽と結婚するつもりだから覚悟しとけよ?」

するりと頬を撫でた手が頭を乱暴になでて、口角をあげて不適に笑う。

「昔の男を忘れるには、新しい男で上書きすればいい。

大丈夫だ、俺がすぐにそんな奴思い出に変えてやる。
いや、思い出せないくらい俺のことしか考えられなくしてやるよ。

宜しくな、朝陽ちゃん」

チュッとわざと音をたてておでこに落とされたキスは、とても熱くて…あっという間に私の顔を熱くしていった。