初めて会ったはずの人なのに、以前にも同じようなことがあったような…これはデジャヴ?

「誰……あなたは……。
私は会ったことあるの…?」

涙に濡れた顔を離して、立ったまま私の頭をお腹の辺りに抱え込んでいた彼を見上げると

「俺は新田柚月だ。
この店のオーナーシェフ、きみの見合い相手の新田柚月だよ」

寂しそうな笑みを浮かべ、切ない瞳が微かに揺れ、頭を撫でていた手が私の頬の涙を拭った。

何度も名前を口にする彼は、まるで私に思い出せと訴えているように聞こえてならない。

じっと顔をあげて見上げていると

「そんな顔していつまでも見てるとキスするぞ」

「えっ…」

切なそうな瞳は、いつのまにか色気を含んだ熱い眼差しに変わっていて、私が彼の言葉の意味を理解した時には、顎を掴まれ屈んだ彼が唇を重ねていた。