ガタンと立ち上がる音がして顔をあげると、涙にぼやけた視界に困った顔をした新田柚月がうつりこんだ。

彼は、私の頭を抱え込んで、その大きな手で優しく頭を撫で

「我慢しないで思いっきり泣けばいい。
朝陽の涙は全部俺が受け止めてやるから、いっぱい泣いて明日は笑顔になれ｣

ちょうどお腹の辺りに顔を押し付けられ、私の手はそのまま服をぎゅっと掴み、安心したように次々溢れる涙は、全部彼の服が吸い込んでいく。

何故だろう…。

同じことをずっと前に誰かに言われたような気がする…。

この私の頭を撫でる大きな手…そして私はこの温もりと香りをを知っている…。