「まじっ!? やべっ、嬉しい。 
この店も、俺の料理も朝陽ちゃん気にいってくれてるんだ」

嬉しそうに笑う新田柚月に、私の胸が微かにトクンと音をたてた。

くるくるかわる表情の彼が何故だか目が離せない。

感情が全て表情に現れるこの人は、素直で悪い人ではなさそうだ。

なにより、彼の手が作り出すお料理は見ためも美しくて、とても美味しいくて私を幸せな気持ちにさせてくれるのだ。

でも、それと同時に、ここには私の思い出が詰まりすぎている。

蓮司を想い、一緒に過ごして一日の終わりをここで楽しく食事をとりながら過ごす…。

私が蓮司と過ごして見たかった休日の特別な時間。

嬉しそうに笑う彼を見ながら、忘れかけてきた切ない想いが再び私の心を支配した。

「ごめんっっ…!

うっっ……もう……ここにはこないから……」

気がつけば涙が頬を伝っていた。