「あの…」

「そんなに警戒すんなよ、朝陽ちゃん?」

くすくす笑いながら、私の名前を呼ぶシェフに身体を後ろに引いてさらに私は身構えた。

「誰、あなた」

私の顔から作り笑いが消えて、冷たい目で真っ直ぐにシェフを睨みつけた。

「俺?新田柚月。そんな怖い顔してみんなよ。新田柚月。
って、あれ……?
何その無反応は…」

「知・り・ま・せ・ん!
そんな人私は知りませんので」

立ち上がりかけた私を彼、新田柚月が制止した。

「待てっ!ちょっと待て。
俺のこと本当に知らないの?
知ってて、ここに仕事休みに一人できてたんじゃなかったのか?」

まるで会話が噛み合わなくて、何を言ってるのか全く理解ができなかった。

結婚式で幸せそうな二人を見て、少し…いや、かなりへこんんでお気に入りのこのお店で、のんびり気持ちを落ち着かせたくてきたはずなのに…。

なんなのだ!
この訳のわからない男は!!