「さーやちゃんどうしたの?」



振り返るとそこにいたのは、しゅうくんだった。


お風呂上がりみたいで髪の毛がぺちゃんこになっているけれど、なんかカッコいい。


じろじろ見ると失礼だからパッと目を反らしたけど、素肌の上にぽろっと着ているであろう薄紫のTシャツからちらっと体が透けて見えるからドキドキしてしまった。


ここにいると心臓が忙しい。


破裂して逝ってしまいそう。



「玲央がどうかした?」


「さっきなんか変な音して...」


「ああ、それなら気にしなくていいよ。ベッドから落ちただけだから」



...え?


ベッドから落ちただけ?



「毎日なんだ。オレも凜も慣れっこだよ。さーやちゃんも気にしなくていいからね。って言っても最初はびっくりだよね。まあそのうち慣れるよ」



いや、慣れたくない。


慣れちゃったら黒羽くんが本当に危険な時に気付いてあげられなくなる。


このクセも止めさせないと。



「気になる?玲央のこと」


「お隣さんなのでそれなりに気にはなるかな」


「そっか...」



ん?


なんだろ、この表情...。


なんでこんな悲しそうな顔をするの?



「玲央じゃなくてさ...オレを気にしてよ」



えっ...。


な、な、何これ。


や、や、焼きイモ...じゃなくて、ヤキモチ?


もしかして...


もしかして...


私...。