しっかし、何度見てもボロだ。


敷布団はクッション性がないし、掛け布団はペラペラ。


冬が来る前に自腹で温かいもこもこ布団を買わないと極寒を乗り越えられないだろう。


窓は小さく、空気の循環もままならなそう。


もともとは薄ピンク色で今では灰色と化したカーテンが備え付けてあるが、あまりにも汚くて触りたくない。


沼口さん洗濯してくれれば良かったのに...。


と、まあ文句はこの部屋に収まり切らないほどあるけれど、寝るためには掃除するのみ。


マスク着用の上、階段掃除用のホウキと雑巾を使って掃除していく。



「ごほっごほっ」



マスクを通り抜け、鼻と喉を刺激してしまう埃たち。


こんな汚い部屋、本当に産まれて初めて。


私の部屋の掃除は毎日三上さんがやってくれていたし、家全体も三上さんが毎日3時間かけて掃除してくれていた。


お陰で空気は常に澄んでいたし、ぴっかぴかの机で勉強出来たし、ぴかぴかのテーブルの上には見るだけでよだれが垂れそうな料理がずらりと並んでいた。


お風呂は大理石で、髪の毛1本落ちておらず、バスタブはツルピカ。


質の良いお湯に浸かっていたからか肌も綺麗でハリやツヤもあったような気がする。


はあ、早く終えてお風呂入りたい。


そして浴槽を洗ってしまわないと...。


気合いを入れて掃除を取り組んだのだった。