僕は昔から、自分で言うのもなんだが、女子にモテる。
それはもうモテる。
かなりモテる。
大変モテる。
そう、まさに『大変』なほど。

好意を持ってくれること自体はとても嬉しく思っている。
けど──だけど、だ。
知らない女の子から告白され、断っても悲しまれ、時には大声で泣かれ、しつこく言い寄られたり、最悪の場合だと罵声を浴びせられたこともある。
それがほとんど三日に一度のペースだ。
一日の間に複数回の時もある。

嫌になって当然だろう?

だったら付き合ってあげればいい?
それは違うと思う。
僕が恋愛感情を持っていないのに付き合うというのは、相手の想いをバカにすることと同義だと思うから。

それに……僕にも好きな人がいる……。

小中高と同じ学校の腐れ縁──柊舞花。
僕は彼女がどうしようもないほど大好きだ。

いつか彼女に告白することが僕の目標であり、OKをもらうことが夢なのだ。
いや、結婚するまでが僕の夢である。

この夢が叶うのなら他に何もいらない。
この世の他の女の子達に嫌われようとも構わない。

だったら告白しろ?
それができたら苦労はない。

フラれるのが恐いのかって?
もちろんそれもある。
フラれる悲しみは、ある意味、一番見てきているのだから。

そして理由はもう一つ……これも彼女達で……。
自分をフッた相手が別の女の子と付き合う──告白するだけでもそうだろうが──それを知ったらフラれた女の子達はどれだけ辛いのだろう、そう思ってしまうのだ。
きっと僕なら耐え難いだろうと。

──だから僕は決めているのだ。
告白を断った女の子達が次の恋をするまで、僕は舞花に告白しない。






そう決めているというのに……被害者は日に日に増えていっている。
結果、僕の告白はどんどんと遠のいている。
それは『恋という名の呪い』となって、僕の心に刻まれていき、僕自身の恋を確実に蝕んでいた。