は~。


 なんでそんな簡単なこと
 今まで気づかなかったんだろう。


 十環先輩の好きな女の子のタイプは
 ニコニコ笑って、誰にでも優しくて
 守ってあげたくなる女の子。


 私とは真逆。
 まさに、結愛さんみたいな人。


 それなのに
 結愛さんを振ってまで
 私を選んでくれたのは、
 間違いなく
 龍兄とお父さんの圧力のせいだ。


 だから十環先輩は
『私を好きなふり』を
 してくれているんだ。




 十環先輩と結愛さんの幸せを
 妨害していた自分に腹が立つ。



 そして
 愛されていたと思い込んでいた自分が
 情けなくて惨めで、ムカつく。


 私は
 さっき買った雑誌を強く握りしめ
 ゴミ箱に走った。


 そしてグチャグチャな感情も
 一緒に捨て去りたくて、
 雑誌をゴミ箱に
 勢いよく投げ入れた。