小百合の家に着き
 インターフォンを押した。


「あ、龍牙さん」


 玄関ドアを開けてくれたのは
 十環だった。


「十環。
 ゲームのソフト、ありがとな」


 緊張もあって笑顔になれない俺とは
 対照的に、
 十環はいつも通りの
 さわやかスマイル。


「いえいえ。
 これは俺から龍牙さんへの
 お礼ですから」


「なんのお礼だよ?」


「龍牙さんに感謝したいことは
 たくさんあるけど。

 今回は
 桃ちゃんがトドメキに入れることを
 頑なに反対していた鷹矢さんを、
 説得してくれたお礼かな」


「別に。
 たいしたことしてねえし」


「龍牙さんがいなかったら
 鷹矢さんは
 認めてくれなかったと思いますよ。

 とりあえず龍牙さん、上がってください。
 姉さん、部屋にいますから」