「この本に
 どんなことが書いてあるわけ?」


「中、見んなよ!」


 そんな俺の声なんてお構いなし。


 桃は
 俺が付箋を貼ったページを開いた。


「何?何?
 『遠回しに自分の気持ちを伝えて
  相手の反応を見る』かぁ」


「だから桃!! 
 本を返せって言ってんだろ!!!!」



 初めてかもしれない。

 俺が桃に対して
 こんなドスの効いた声を張り上げたのは。


 TODOMEKIの奴らだったら
 びびって涙目になるくらい
 おっかない顔をしている
 自信があったのに。


 桃は、全くびびっていない。


 それどころか
 俺に1歩もひかないくらい鋭い瞳で
 俺を睨んでいる。


 そして桃が本を破きながら
 低い声で言い放った。


「この本に書いてあること
 鵜呑みにしてんじゃねえよ!」


「……」