俺の言葉を聞いた桃は
 いきなり俺の部屋を物色し始めた。


「なんだよ。
 おい!勝手に引き出し開けんなよ」


 俺の言葉を無視して
 桃は俺の部屋のクローゼットまで
 開け始めた。


「俺、マジでキレるからな!」


「キレれば!
 龍兄がキレても
 なんにも怖くないし!」


 俺の言うことを全く聞かない桃に
 我慢の限界。


 俺が怒鳴り声をあげようとしたとき
 桃の声が俺の耳に届いた。


「見つけた!」


 桃が俺の前に突き出してきたもの。


 それは

『奥手男子の必勝アプローチ』という
 恋愛本。


 俺に何も聞かず
 桃は本を開こうとしている。