龍と私の出会い。

 それは、私が高2の時。



 我が家のインターフォンが鳴って
 私が玄関を開けると、
 そこには目つきが鋭くて
 イカツイ男が立っていて。


『百目といいます』と言われた時には
 このまま玄関のドアを閉めないと
 とんでもない悲劇が
 起こるかもとまで思った。



 でも、
 十環のことで家族に話したいことがある
 と芯のある声で言われた時、
 私はリビングに龍を通していた。



『十環をTODOMEKIに入れることを
 許可してほしい』

 そう言って私たち家族に
 頭を深々と下げた龍。



 私と同じ高2と思えないほど
 凛としていて。

 男らしくて。

 なぜか目が離せられなくなって。


『十環がおじさん達に
 心を開いてくれるように
 俺も協力しますから』

 そう言って
 帰り際に龍が優しく微笑んだ時には、
 するどい目つきの時とのギャップに
 自分の心に電気が走ったのが分かった。


 
 私の龍への恋は
 その瞬間から始まったけど。


 高校を卒業したあの日。

 ずっと押し隠してきた私の恋が
 完全に終わった。