オレ達のカリカリと言う音だけが聞こえる。


「智和、色鉛筆ないの?」

また夏恵が後ろに立っていた。

色鉛筆なんてあるわけない。中学校以来持ったこともない。


「ねぇよ」

「色を塗らないと完成しないの」

「赤ペンと青ペンならある」

「二色で何ができんのよ。バカじゃないの?」


口が悪い。

美咲さんの娘のくせに口が悪過ぎやしないか?

「お前、オレはお前より年上だろ。オレは17歳、」
「あたしは6歳」