「でも今、この家にはない」

「ふーん」


夏恵はつまらなそうにため息をつくが、目は明らかに使えない奴と言っている。

「つまんない。何か遊ぶモノないの」

「ねぇよ。絵でも書いてろ」


レポート用紙を二・三枚ちぎると鉛筆と一緒に渡した。

夏恵は不満そうな顔をしながらも、段々絵を描くことに夢中になって行っている。