その二人の真ん中にいて、オレを見上げて来る二つの目。


「娘の夏恵(なつめぐ)よ。お兄ちゃんにご挨拶して」

「こんにちは。夏恵です」

行儀よく頭を下げてくる女の子。

典型的な父親似の顔だったが、大きな二重は美咲さんに似ている。

黒くて長い髪は癖一つ無い。

着ているクリーム色のワンピースもよく似合ってる。

「なつ、良い子にしてるんだぞ」

「うん」

「智和くん。これ困った時に使ってね」

美咲さんにピンク色のリュックを渡された。

「じゃあよろしくね智和くん。

なつめ、行ってくるね」

「行ってらっしゃい」