「お、男の子だけど…」
若干お兄ちゃんの圧に押され気味に答えると、更に圧が黒くなった…気がした。
「へー、男ねぇ。七海、ソイツに何かされなかったか?異様に触られたとか、しつこく何か聞かれたとか連絡先交換させられたとか」
「ううん…、どれも無いよ…」
な、なんかちょっと恐いんだけど…。
「…ならいいけど。なんの本貸すの?」
「『薔薇の木曜日』」
そう言うと、楓空兄は少し驚いたような顔をした。
「珍しいな。俺のときは知ってる奴なんて1人もいなかったぞ。大体あそこの図書室になかった気がするけど…」
「本編はないの。続編があって。私も今日見つけたんだけどね。1番最後のページに2年前の日付が書いてあったから、多分お兄ちゃんがいたときは無かったんじゃないかな」