私の声は、儚くも静かに消えていった。 ————どうしよう。 帰り、電車に揺られながら悶々とする。 電車には、前に通っていたあやめ高校の制服もチラチラとあった。 …それより何より。 約束しちゃった。あの皐月昴と。 いや別に、本を貸すことに問題はない。 …ないんだけど。 問題は、皐月昴にファンクラブが存在するってこと、人気があるってこと。 前に、あんなことがあったから。 ガタン。 電車が揺れる。