そう言うと、昴くんは私の手を掴んで図書室を飛び出した。


「す、昴くん!?」


 後ろを振り向くと、藤寺先輩はひらひらと片手をふっている。

 それでも昴くんは止まらない。

 エレベーターで1階に降りると、また走り出す。


 まだ校舎に残っていた生徒が、驚いて私たちを見ている。


 なんだか楽しくなってきちゃう。


「昴くん」


 走っているから、聞こえないかもしれないけど。


「ずっと一緒にいたいよ」


 私が見る世界は、君と出会ってから変わったよ。

 君に恋してから、輝いてるよ。


「当たり前」

「きゃっ…!」


 生徒昇降口を出ると、はやし立てる生徒が見てる中、昴くんが私を抱き上げた。

 視界が高くなって、昴くんを見下ろす。


 ヒュー、ヒュー、と湧き上がる歓声。


「俺は七海だけだよ」


 昴くんはあれからお父さんと話し合ったらしい。

 今度合わせたいと言ってくれた。

 少しずつ、確実に変わってきている。